見て、聞いて、触って学ぶ「うしぼく牧場ツアー」

日頃から牛たちと向き合い、育てる牛飼いさんを先生に迎え、牧場を見学しながら牛たちについて学ぶ、「うしぼく牧場ツアー」。コロナ禍の影響も受け、なかなか開催できずにいましたが、2022年4月29日(金・祝)に記念すべき第1回目を開催することができました。当日は生憎の雨天でしたが、大人と子ども合計10名の参加者が集合してくださいました。集合場所であるマルシェ六甲(うしぼくの直営精肉店)を出発し、飼料班担当の秋山さんの元気な挨拶からツアーがスタートしました。

牧場までの移動中から、うしぼくツアーのレクチャーは始まっています。まずは昭和43年に生まれた、うしぼくの紹介から。都心から車で30分ほどの場所で、現在4,500頭近くの牛たちが育てられていることを教えてくれました。まちなかから意外にも近い距離にある事実に、「そうなんだ〜」という声も。牛を見学する牧場ツアーにこれまで参加したことがあるかをお聞きしてみると、皆さん今回が初めてだとのこと。どんな景色が広がっているのか、どきどきしながら雨の山道を登っていきます。車の運転は、堆肥班 班長の髙尾さん。日頃から大きなトラックを捌いているたくましい腕で、さすがの安定感でした。

車で走ること約30分、うしぼくの牧場に到着!さぁ、これから牛たちの牛舎に向かう参加者の車にむかって「いってらっしゃ〜い」と、うしぼく社長の池内さんが入口でお出迎えです。

まずは、牛の餌が備蓄されている飼料庫と、牛に餌をあげる給餌車(きゅうじしゃ)の見学へ。ブロック状に固められた飼料が倉庫内にたくさん積み上がっています。飼料庫に向かって駆け出した秋山さん、ツアー車のすぐ近くまで飼料を運んできてくれました!近寄ってみると、フワッと草の香りが。

さらに場内を進むと、六甲牛や六甲和牛の牛舎が見えてきました。六甲牛は、アンガス種と黒毛和種の掛け合わせ、六甲和牛はホルスタイン種と黒毛和種の掛け合わせで生まれた牛です。普段見慣れない車に気づいて、好奇心旺盛な牛たちはツアー車へ急接近!

「牛は、好奇心が強くて臆病な生き物です」と、秋山さん。また、牛は思っていることがそのまま表情に出やすい生き物でもあるのだそう。怒っている時は怒りの表情に、好奇心旺盛な気分の時は興味津々な表情になるのだとか。「牛たちの前に手を出してみると、臆病なので一度は後退りしますが、そのまま放っておくと興味を持って近づいてきます。試しにやってみるので、見ててくださいね」と、秋山さん。実演してみると…秋山さんの言った通り!牛たちは興味津々な表情で、ゆっくりとこちらに近づいてきました。

続いて、牛舎掃除と堆肥舎の見学です。牛を育てる牧場として、牛たちのうんちの処理は避けては通れない大切な作業。牛舎の床に落ちたうんちはトラクターで堆肥舎に集められ、畑の養分となる堆肥に生まれ変わります。神戸を中心とする農家さんや、家庭菜園でも使われているうしぼくの堆肥。約5ヶ月間、大きなトラクターで“切り返し”と呼ばれる作業を行なって空気を循環させ、良質な発酵堆肥に仕上げます。発酵する堆肥を見て「湯気が出てる〜!」と声があがります。

次は、牛の治療部屋へ。人と同じように、牛たちも病気にかかることがあります。牛たちの体調変化に気づくことも、牛飼いさんの大切なお仕事のひとつ。元気がない牛を見つけると、縄で捕まえて治療を行います。牛の捕獲を、副場長であり、牛飼いの斎藤さんが実演してくださいました。「あれ、簡単そうにやってるけど結構難しいんです」と、秋山さん。無事捕獲し、車内から拍手があがります。

続いてはお待ちかね、牛の餌やり体験へ。車から降りて、大きな牛たちを目の前にした子どもたちからは「ちょっと怖い〜」という声も。餌を手にとり、恐る恐る牛たちの口元へ手を伸ばしてみると…牛たちは餌をむしゃむしゃ。「こっちの牛さんいっぱい食べるよ!」「手も舐められた〜!」と、少しずつ牛たちとの距離が縮まっていきました。

こうして、場内見学は終了。うしぼくの牛たちも飲んでいる六甲山系の水を飲んで一息ついたら、牛にまつわるクイズ「うしんちくクイズコーナー」のスタートです!

クイズは、家族対抗戦。家族みんなで話し合って、3つの選択肢の中から1つの解答を選びます。「牛が1日に食べる餌の量は何キロでしょう?」「牛の平熱は何度でしょう?」「牛は怒ると何をするでしょう?」など、全7問のクイズが出題されました。中には、場内見学中に牛飼いさんたちが教えてくれたものも…?正解発表の後には、社長の池内さんや牛飼いの秋山さんが解説をしてくださいました。

そして、結果発表!正答数が多かった家族から順番に、好きな景品をゲット。クイズの景品は、「うしぼくビーフカレー」や「六甲牛の赤ワイン煮込み」など、大人も子どもも楽しめる商品のたっぷり詰め合わせセットです。最後にアンケートを記入し、「うしぼく牧場ツアー」は終了。「ありがとうございました〜!」と、参加者のみなさんをお見送りします。

「大きくてこわいと思っていた牛が、可愛く見えるようになった」「飼育の工夫の多さに驚いた」など、参加者の方々からはさまざまな声をいただきました。日々の食事で目にする機会はあるものの、実際に生きている様子を見ることはあまりない牛たち。そんな牛たちが、生き物としてすくすくと育つ場所を見学していただきました。牛を目で見て、牛の鳴き声を聞いて、牛の体を手で触って。大人と子ども、感じたことは人それぞれだったかもしれません。大切に育てられている牛たちの命が確かにここにあり、その命が私たちの食卓に届き、また新たな命を繋ぐ。そんな、牛たちの恩恵を改めて感じさせてもらった牧場ツアーとなりました。

執筆:株式会社KUUMA 木村有希
撮影:カメラマン トクナガヨースケ


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