うしぼく通信vol.13 編集後記

うしぼく通信編集チームによる、編集後記。うしぼく通信制作の裏側に生まれた、誌面には残らない小さな気づきや温度のあるあれこれ。神戸市内という消費地と近い場所で約4,500頭もの牛たちを育てる牧場だからこそ提案できる、牛とともにある暮らし。うしぼく通信の制作を重ねる度に見えてくる、今の神戸牛牧場と牛たちとのあり方をつづります。


良いものづくりを支えるもの

同じ神戸というまちの中で、牛を育てる神戸牛牧場と、酒づくりに向き合う白鶴。今号のvol13では、そんな牧場と酒蔵のあいだにある接点や共通項を探りました。白鶴の工場見学から始まった今号の取材。長年にわたって先代から受け継がれてきた技術や知恵が集積し、今の酒づくりを支えていることを感じました。機械で管理されている部分もある一方で「ここは、人が目視で確認するんです」と、人の感覚を大事にしている部分も。機械に全てを委ねるわけではない、そのバランスがとても興味深かったです。

私たち編集部は、肥育牧場のうしぼくや酒のメーカーである白鶴とは全く別業種ではありますが、彼らの会話からは学ばせてもらうことがたくさんありました。良いものづくりを支えるものについて考えるきっかけにもなった今回の取材。特に感じたのは、「常識にとらわれないこと」「届ける人たちのことを想うこと」「思考停止せず、探究し続けること」。今回の対談中に話題にあがった、うしぼくの池内さんもお気に入りの『大吟醸』。このお酒は、白鶴の若手社員が「日本酒初心者でも気軽に飲める大吟醸をつくりたい」と提案し、さまざまな試行錯誤を重ねて1本1,000円ほどのお求めやすい価格をなんとか実現したそうです。この商品の誕生を支えたのは、まさに「常識にとらわれないこと」、「届ける人たちのことを想うこと」、「思考停止せず、探究し続けること」だと感じました。

今回の取材に限らず、異業種の方のお話を聞くと「自分の仕事に当てはめて考えたらどういうことか」を意識することが多いです。私たち編集部は、うしぼく通信の取材を通じて、牛飼いさんや肉切職人さんをはじめ、農家さん、シェフ、そして今回の酒蔵など、さまざまな異業種の方と出会わせてもらってきました。生業として行なっていることは違えど、そこにある視点や姿勢には学ばせてもらうことが大変多いです。牛を起点に、これだけ色々な人と繋がれることそのものが「神戸から、牛とある暮らし。」なのだと改めて感じました。

出会いが、次の出会いを繋ぐ

名刺交換から始まった取材。すると、白鶴の名刺が和紙のような優しい風合いをした紙質だったため、編集部はその名刺についても尋ねてみました。なんでも、その名刺は白鶴の酒の紙パックをリサイクルして作っているものなのだそう。作られている場所は、さまざまな障がいを持つ人が集って日々活動している地域活動支援センター「御影倶楽部」。白鶴の工場のすぐ近くにあり、そこに依頼して1枚1枚手作りで作ってもらっているそうです。

後日、編集部は白鶴広報室の植田さんとともに「御影倶楽部」へ見学に行くことに。工場を見学してみると、1枚1枚紙漉きで丁寧に作られており、優しい風合いの紙が次々と生まれていました。「御影倶楽部」で作られている紙は、作家さんの作品作りに使用されたり、飲食店のメニューを書く紙に使用されたりしているそうです。見学後、私たち編集部も少しだけ紙漉き体験をさせていただきました。

白鶴との出会いから繋がった、また新たな場所との出会い。自分たちが知らないだけで、ひとつのまちの中にはさまざまな作り手がいることを改めて感じました。これも、牛をきっかけに生まれた出会い。さまざまな形で「神戸から、牛とある暮らし。」を感じた今号でありました。

筆:うしぼく通信 企画編集 株式会社KUUMA 木村有希


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